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シェアユニとSDGs

先週土曜日の授業直後。私の部屋の前の教室に長蛇の列ができていました。この日はシェアユニ(シェア・ユニフォーム)のグループがリサイクル対象の制服を文字通りシェア(欲しい人に渡す)イベント当日。この活動は生徒たち自身が、「まだまだ着れる制服を捨てるのではなく、着れる人にシェアしていくことが大切」という信念のもとはじめた活動です。当日は30着弱集まった制服を譲り受けたい生徒たちが押し寄せたのでした。

シェアユニのメンバーは制服寄付の募集、受け取りと品質チェック、在庫管理、シェアイベントの告知、イベント当日の整理券含めたスムーズな運営等、ちょっとしたソーシャルビジネス同様の仕事をテキパキとこなしていました。教員の直接的関与はほとんど無く、自分たちで課題解決をしていきます。こうしたいわゆる「課外活動、ボランティア活動」はどの学校でも行われていると思います。IB校の特徴は、活動の目標、実施計画、チームとしての生産性を上げること、結果の評価、振り返り等、活動の途中でプロセスを学んでいくことが生徒に求められていることです。

国際バカロレアのMYP課程ではS&A(Service as Action)、DP課程では(CAS)というカリキュラムの中の枠組みがあり、生徒は課外活動においても自らの成長プロセスを意識して取り組みます。今回のシェアユニのリーダーの一人に「どんなこと学んだ?」と聞くと、生徒は「チームで運営するコラボレーションの方法です」それから「シェアユニの倫理的な意義です。イベントに来てくれた1年生の一人に『この活動って裕福でない家庭の人たちに制服を無料で配布する活動ですよね』と言われたのですが、我々は倫理的な観点からそうしたことを目指さない方針です。裕福でない人云々という目的となると主催者は上から目線的になる可能性もあるし、制服が欲しくて来てくれる人ももしかしたら参加することに気が引けてしまうかもしれない。そうした目標よりも『地球の資源を有効に使う』ために使えるものは『シェア』しようという考え方を生徒みんなに知ってもらい、誰でも前向きに取り組める活動にしたいのです。この倫理的な考え方が明確になったことが私にとっての最大の収穫でした。」普段は柔和な生徒が強い目をして話してくれました。

SDG(持続可能な開発目標)を学ぶカリキュラムやワークショップも盛んです。しかし、このシェアユニの生徒たちは主体的な活動の中から自然にSDGs とはどういうことで、効果的に進めるためには何が必要かを学んでいる気がしました。しかもワイワイと楽しみながら。