【2年生・理科1】家庭電力調査
ねらい
電流の性質を実感し、電流の性質を利用してエネルギーを効率的に利用する方法を考える。電流の性質の理解と応用が実生活に大いに役立てられることに気付く。
概要
2年生の1学期後半に電流、電圧、オームの法則などの電流の性質について実験を通して探究的に学習した後、電力、電力量について学び、電気エネルギーの大きさを計算する方法を理解した。本課題はその後、夏休みの宿題として行った。
まず、生徒自身の家庭での1日の消費電力量を、電気器具の消費電力と使用時間から概算した。すると、それぞれの電気器具が電気エネルギーをどのくらい使っているか実感できた。その上で、持続可能な社会の実現のために、科学技術の革新を活用して、「やせがまんをせずに」家庭での消費電力量を減らす方法を調査し、テーマを1つに絞ってその内容をA3の手書きポスターにまとめた。
夏休み明けに提出したポスターに教員がコメントをして返却し、そのコメントをもとにポスターの修正・書き直しをし、再提出を行った。その際、高い評価の生徒のポスターをコピーしたものを廊下に掲示し、生徒同士の学び合いを行った。
成果(ふりかえり)
生徒が調査に選んだ電気器具としては、夏休みに行ったためエアコンが最も多く、次いで照明、冷蔵庫などが多かった。太陽光発電、家庭用燃料電池、HEMS、グリーンカーテンなどについて調べた生徒も多かった。
ポスターの限られたスペースの中で、かなり高度な科学技術の内容を自分なりに分かりやすく説明している生徒がたくさんいた。科学技術のしくみの説明には図が有効であると考え、視覚的に分かりやすい図を作成する努力をした跡が多く見られた。再提出の際には多くの生徒がポスターを改良し、一度目の提出の時にはポスターを廊下に掲示した生徒は2年生151名中10名強であったが、再提出後は40名を超えた。
理科1の授業は、教科の基礎知識を探究的な実験を通して理解することに多くの時間を使うため、今回は調査をする時間は授業外となり、また授業で調査内容を発表して学び合う時間は確保できなかった。授業外の課題を増やしてしまうという欠点はあるが、授業では実験やそれに基づく議論などの学校でしかできない学びを重視し、家でしかできない学びを宿題にしたことは、今のカリキュラムの中においては適切な指導法であったと考える。また以前はレポート課題にしていたため発表・学び合いはしにくかったが、ポスターにしたことで廊下に掲示して発表するという形が取れたため良かったと考える。
(渡辺真伍)